<受賞のことば>　　内田　景子     　 　 　 　   　 

　この度は栄えある白魚火賞を賜りありがとうございました。
　通知を頂きました時は、驚きと喜びが爆発した瞬間でした。
　一昨年は母の死去、自身の病気等でほぼ一年間、俳句とは遠去かっていただけに、思いもかけない出来事でした。
　平成十九年に、小浜史都女先生のお誘いで俳句を始め、月一回の吟行・雑詠句会でご指導を受け、今日に至っております。
　飽きっぽく長続きしない性格の私が、これまで俳句を続けてこられたのは、歳時記と出会い、四季の移ろいや日本語・文化の奥深さを感じられるようになったこと。
日々の暮しに潤いが生まれたこと。
史都女先生に出会えたこと。
史都女先生を囲んでの、笑いの絶えない句友の皆様とのご縁を切らさずにこられたこと。
につきます。
　「蒼蠅、驥尾に附して万里を渡り、碧蘿、松頭に懸かつて千尋を延ぶ。」との文がありますが、平成二十四年の新鋭賞受賞から十年の節目にこの賞を頂き、継続の大切さを更に実感しました。
　現在も、毎月の投句締切日にはあたふたしながら、結果に一喜一憂の日々ですが、目指すべき次の十年に向けて、思いを新たに俳句と共に歩いていきたいと思っております。
　末尾となりましたが、ご推挙頂きました白岩主宰、村上先生ありがとうございました。心より感謝申し上げます。



　経　歴
本　　名　内田　景子（うちだ　けいこ）
生　　年　昭和二十八年
住　　所　佐賀県唐津市

　俳　歴
平成十九年　　白魚火入会
平成二十二年　白魚火同人
平成二十四年　白魚火新鋭賞
平成二十五年　みずうみ努力賞

<受賞のことば>　野田　弘子        　　　　　 

　この度は、同人賞をいただきありがとうございます。知らせをいただきました時は、とても信じられませんで、そのままにしておりましたが、二日経ち三日たちますうちにじわじわと嬉しさが込み上げて来ました。と同時に「私でよいのでしょうか」との思いが強くなって来ました。子育てが終わりましたころ二年余り公民館の俳句サークルで学んでおりましたが、主人の転勤でその地を離れ、それから十数年俳句の事を思い続けていました。
　白魚火との出会いは一枚の短冊を見かけたことにあります。そこで、ありがたいご縁で山根仙花先生の「久木句会」に入会させていただく事になりました。ここで再び多くの事を学び、役員さんのお働きのおかげで、いろいろな地を吟行しました。ここで私は吟行の楽しさをはじめて知りました。
　仙花先生のお人柄と、「平明な言葉で楽しく句をつくる」と教わりますことに、見知らぬ地へ越して来ました私はずい分たすけられました。
　ある年の全国大会の懇親会の席で、仁尾先生から「君は仙花先生のお宅に近いなら毎日でも通って学ぶと良いよ」とのお言葉をいただきました。それは実現しないまま時を経て、仙花先生がご高齢で退会され、まもなく私も運転免許の返納で久木句会を退会しました。
　現在は酒のまず句会とＪＡいずも句会で学ばせていただいております。私の句は作風に一貫性がなく稚拙ですので、この受賞を重く受けとめて、楽しい雰囲気であたたかく接して下さる句会の皆さんに支えられて、日々精進致します。
　白岩先生、安食先生、村上先生、美知子先生のお導きに心から感謝申し上げます。

<受賞のことば>　栗原　桃子        　　　　　 　 

　この度は新鋭賞という名誉な賞をいただき誠にありがとうございます。先日白魚火社からのお手紙が届き、何だろうと開封しましたところ、まさかの新鋭賞受賞のご連絡で、何かの間違いではと何度もお手紙を読み返してしまいました。自分でもまだ信じられませんが、これも白岩敏秀先生、村上尚子先生をはじめ、東京句会の寺澤朝子先生、句会の皆様が熱心にご指導くださったお蔭と思い、これからも真摯に俳句に取り組んでいこうという気持ちになりました。
　元々母の影響で白魚火誌を読むようになり、そのうちに投句を始めて一年ほど経った頃、東京句会の河島美苑様から句会へのお声がけをいただき参加したのがより俳句に取り組むようになったきっかけでした。東京句会へは安食彰彦先生からのご紹介があったと聞いております。句会も吟行も全く初めての私に、東京句会の皆様は驚きながらも丁寧に一つ一つ俳句について教えてくださいました。句会の皆様がとても真摯に俳句に向き合っている姿を見て、私ももっと俳句の奥深さを学びたいという気持ちになりました。
　コロナ禍で句会ができなくなった時も、萩原一志様が取りまとめ役となってくださり、毎月ネット句会に参加できたのもありがたかったです。実際にはお会いできない状況でも、句会の皆様の様子が句を通して伝わってきて、約二年半ぶりにお会いした時も、そんなに長い期間会っていないとは思えないくらいでした。父母とも長らく会えませんでしたが、俳句を通じて今まで以上に交流できたのではないかと思います。
　仕事が忙しい時など句をつくるのが大変な時もありますが、仕事の休憩時間にふと句を思いついたり、句をつくってみることで自分の本当の気持ちに気づいたりできるようになり、俳句と出会って本当に良かったと思っています。まだまだ勉強不足ですが、これからも句会の皆様のお力をお借りしながら、楽しく研鑽していけたらと思います。ご指導くださる諸先生、東京句会の皆様に心より感謝申し上げます。この度は誠にありがとうございました。

　経　歴
本　　名　栗原　桃子（くりはら　ももこ）
生　　年　昭和五十二年
住　　所　東京都板橋区

　俳　歴
平成三十年三月　白魚火誌投句開始（白魚火入会）
令和三年　白魚火同人
令和三年　俳人協会会員

　桃子さんは平成三十一年春、白魚火東京句会に入会されました。
　突然の若者の参加に皆驚きと嬉しさを持って迎えたものです。
　俳句はお母様の広瀬むつきさん（函館）に勧められ、離れて暮らすお母様と同じ趣味を持って今まで以上に話題が弾むようにと思い始めたそうです。河島さんからの東京句会へのお誘いには少し悩んで「えい！」と飛び込んでみることにしたそうで、今ではすっかり句会に馴染み若さ溢れる句を出してくれます。
　コロナ禍で東京句会がネット句会となってから、それまでの自由句七句投句が兼題二句と自由句五句となりました。
兼題句より
　　神様に叱られまいか鮎旨い
　　土用鰻てふ幸せを買ふ家路
　「季語を知るために外に出掛けたり、食材を食べたり楽しく取り組むことが出来ました。特に『鰻』が兼題の時は、俳句のためと言いながら何度も鰻を食べることができて夏の良い思い出となりました」（合同句集より）と書かれ、兼題句をおおいに楽しまれたようです。
　　春めきてついと会社を抜け出せり
　会社勤めの句も軽やかに詠まれています。大学卒業後、人のために役に立つ仕事として選ばれた医療法人の事務を経て、現在は往診専門の診療所にお勤めです。コロナ禍で医療従事者は大変な状況になり、俳句を詠むのも困難な時期があったそうですが、趣味の野球観戦や音楽の句を明るく詠むことに癒やされ、俳句をしていて良かったと言われています。
　家族の関係が見える句もあり、ほろっとしたり、くすっとしたりしました。
　　会へぬ父母と共に汲みたき新茶かな
　　漫画読む夫の横顔ねぎ坊主
　これからも若い感性をもって句会に刺激を与えてくれることを期待しています。今後の活躍が楽しみです。桃子さんの新鋭賞のお知らせを句会の皆が待っていました。本当におめでとうございます。