最終更新日(update) 2010.12.31
支部・地方の便り
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群馬白魚火磴の会 平成21年1月号掲載
浜山句会 平成21年2月号掲載
広島白魚火会 平成21年3月号掲載
唐津 松露俳句会 平成21年4月号掲載
鹿沼いまたか俳句会 平成21年5月号掲載
浜松白魚火 梧桐句会 平成21年6月号掲載
東京白魚火会 平成21年7月号掲載
磐田「槙の会」 平成21年8月号掲載
静岡白魚火「穂波句会」 平成21年9月号掲載
出雲「JAふれあいの家俳句会」 平成21年10月号掲載
鹿沼「水無月句会」  平成21年11月号掲載
浜松「円坐B} 平成21年12月号掲載
佐賀「姫沙羅会」 平成21年12月号掲載
旭川白魚火句会  平成22年2月号掲載
広済寮なかよし句会(中津川) 平成22年4月号掲載
静岡白魚火 紫陽花句会 平成22年5月号掲載
栃木白魚火 鹿沼いまたか俳句会  平成22年6月号掲載
東広島 白魚火天神俳句会  平成22年7月号掲載
宇都宮公民館白魚火句会  平成22年8月号掲載
静岡白魚火「草の実句会」  平成22年9月号掲載
旭川白魚火会「泥鰌鍋句会」 平成22年10月号掲載
群馬白魚火「矢倉句会」 平成22年12月号掲載

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平成21年1月号掲載 句会報
     群馬白魚火磴の会  
横手一江

平成21年1月号へ 

  磴の会発足は平成三年ですから今年で、十五年になります。こんなに長く続けられたのもひとえに田村萠尖先生の懇切なご指導をいただいた事と、句の仲間が心ひとつに努めてきた結果と思っています。
 現在会員は七名です。もう少し欲しいところですが、なかなか思う様にはいきません。月一回の句会の三時間は互選の後お互い意見を交換し、あっと云う間に過ぎてしまいます。句稿は清書して先生に送り見ていただいています。吟行は色々な都合でなかなか遠方へ出掛けられないのですが、七月は榛名湖方面の森林公園へ、十月は成人の森公園を散策吟行しました。十一月五日伊香保まつり俳句大会が開催され参加。他の結社の先生方の講評を聞きとても参考になりました。
 話は少し外れますが、昨年「浜」同人の村越化石さんとお会いする機会に恵まれ町内の句仲間四人とお尋ねしました。化石さんは渋川から車で一時間半ほど離れた温泉で知られる草津町のはずれのハンセン病療養施設、国立栗生楽泉園におられこの地に住んで七十年間国の強制隔離により様々な辛酸苦難を耐え抜いてこられ今年八十五才になられました。お伺いした時は八重桜、石南花が咲き誇り園は明るく、私のイメージとはまったく違っていました。朗らかな声で盲人と思えぬ明るさで私達を迎えて下さり、持参した句の添削講評をいただきました。化石さんの句について作られた時の心境などもお伺い出来ました。今までに蛇忽賞はじめ数々の賞を受賞され、今年は山本健吉賞を受けられ是からがますます楽しみです。

  十月句会より

望郷の目覚む八十八夜かな
爽涼の卓にひらきし鳥瞰図
佛像の日めくり版画秋うらら
石蕗咲いて日々深み行く空の色
ハーブ咲き蜂の虜となつてをり
しばらくは庭の虜に月見かな
声援が空に広がる運動会
街道のどの家も柿たわわかな
長電話残る虫の音聞きながら
露けしや石の舞台に石の席
山おろし吹く日続きて稲架乾く
音消してテレビ見てゐる虫の夜
コスモスやえきといふ名の無人駅
化石
花梗
花梗
志宇
志宇
昌子
昌子
ミドリ
ミドリ
もとめ
もとめ
一江
一江



平成21年2月号掲載 句会報
     浜山句会  
 渡部美知子

平成21年2月号へ 

  浜山句会は、平成四年、上川みゆき先生宅で産声をあげました。以来、メンバーの変動はありましたが、その都度互いに協力しながら楽しく続けてきました。現在の会員は十一名。全員が白魚火誌友です。
 句会は毎月第三金曜日。場所は出雲市大社町の荒木コミュニティセンター。五句を持ち寄り、時間があれば席題に挑戦します。毎回があっという間の、充実の三時間です。
 清記、選句、披講と進み、その後先生の総評。総評の中では誤字脱字・季重なり・仮名遣いの注意もあり、これらに関しては厳しくかつ細やかなコメントが付きます。
 例えば仮名遣いについて――
 「背負ふてはまちがい。背負うてです。ての上にふはない、と覚えましょう。」
 「何々してをりのをは下のを。置くのおは上のお。もう何回も注意しましたよ。」
といった具合です。
 次に点の入らなかった句について、作者の名は伏せて、何故採ってもらえなかったのか、より良くするにはどう直すとよいかなどを話し合います。先生が皆に考えさせる時間として大切にしていらっしゃるコーナーです。一字変えるだけで句が甦り、語順を少し変えるだけで句が立ちあがってくる……その度にほぉ〜なるほど〜と、皆声をあげ、納得です。
 様々な事情で全員揃うことはありませんが、浜山句会として最良のやり方を工夫し、楽しく元気に続けたいと思っています。

岬宮の坡塘に佇てば冬怒涛
錨綱張りて宇禮保の浦も冬
山高く谷深くなる冬紅葉
荒磯の冬の海よし岩に佇つ
木枯や遠く海鳴り乗せ来たる
船頭の声に屈める炬燵船
ベストセラー繙く窓の小夜しぐれ
冬ぬくし極彩色の蛙股
雨覆ひすませ安堵の冬構
この道は地図になき道実万両
小六月鞄ふたつの旅仕度
みゆき
あさ乃
恒一郎
弘子
美知子
三千女
(休)美也子
美也子
美代子
陽子
喨子


平成21年3月号掲載 句会報
     広島白魚火会  
舛岡美恵子

平成21年3月号へ 

 広島白魚火会は年に二回合同吟行句会をしています。今年は忘年会を兼ねて十一月二十五・二十六日に出口廣志さんご夫婦の企画で呉市蒲刈町で一泊吟行会を行いました。
 蒲刈町は最近呉市と合併し、東側を上蒲刈、西側を下蒲刈の二の島からなっていて、呉市からは橋でつながっています。二〇〇八年十一月には大長蜜柑で有名な豊島と上蒲刈が橋でつながりました。
 下蒲刈は江戸時代には朝鮮通信使寄港地で、町中あげて接待した様子が松濤園などに残っています。この松濤園と木造の美術館を中心にして、全島を一つの名園に造り上げられています。
 二十五日夜の忘年会は渡邉春枝さんの挨拶、奥田積さんの乾杯の音頭で始まり、途中で一分間スピーチを全員することになり、家庭のこと、俳句や句会運営の事など、自分の思いを話しました。
      一分間スピーチは不得手鬼おこぜ  二三子

 その後は中山仰さんのカンツオーネに始まり最後は全員肩を組んで「瀬戸の花嫁」を大合唱しました。
      出家者も牧師も唄ひ年忘れ  敏子

 二十六日は車に分乗して豊島と橋で続いていた潮待ち港の大崎下島まで行き、おちょろ舟(遊女を停泊中の船まで運んだ舟)の模型店で話を聞いたり、山頂近くの遊女墓、郭跡、潮待ち港の名残の町並みをそれぞれ吟行し、今年最後の合同句会をして昼食後に家路につきました。
 とても有意義で楽しい二日間でした。

船宿の軒に魚干す大根干す
砂を掻く脚に冬毛や烏骨鶏  
ひかげればひかげる色に冬の海
飾りある絵皿に障子明りかな
一湾を抱きかかふかに蜜柑山
きらきらと瀬戸の海あり石蕗の花
冬凪や遊女の墓のかなの文字 
おちよろ舟の昔を語る小春凪  
石蕗咲くや歴史の町の石畳
「恥」といふ絵文字愛らし小六月
石人の大き目鼻や石蕗の花
冬座敷御座船屏風の通信使
侘助や蔀戸海へ開け放つ
菅公の水清ければ紅葉映ゆ  
電飾の如き蜜柑の山香る
冬の波切つて乗りたき櫂伝馬
烏骨鶏羽を休めて冬深し
冬草や遊女「やま志奈」ねむる島
釣り船の瀬戸に一点冬晴るる
冬晴れや雁木における葱の鉢
春枝

敏子
伸枝
廣志
サツエ
稔 

クニ子
米美
基子
徳三
美奈子

ひろみ
啓子
幸子
弘子
二三子
美恵子



平成21年4月号掲載 句会報
      松露俳句会 
 水島川栄子

平成21年4月号へ 

 唐津市中央公民館の生涯学習として松露俳句会ができました。月一回発行の会報「しおざい」は二〇三号を数えます。俳句会は月一回第一土曜午後一時三〇分、七句投句、出席者十五名ほど、皆さん熱心でほとんど欠席はありません。
 平成二十年は「源氏物語」が書かれて千年ということで、全国各地で記念行事が催されています。当唐津市でも、最近お能『葵の上』が上演されました。それにつけても『源氏物語』の中の『玉鬘』の巻の玉鬘が、生まれてすぐ母親の夕顔の頓死によって、乳母の家族と共に九州で成人するまでの舞台が、この唐津市の鏡山の麓であったことに驚きました。玉鬘の美貌を聞き知った肥後の豪族の執拗な求婚を避けて、潜んでいたという洞窟もあります。又鏡神社の境内に『君にもし心たがわばまつらなる鏡の神にかけて誓はん』と肥後の権が贈った歌が後の人達によって歌碑として残されています。この歌碑に佇ちながら遠き世のロマンに思いをはせたことでした。

作品

雪だるま据ゑて客待つマーケット
町中を気儘に歩く春隣
冴返る夜半の踏切工事音
所在なき人の溜り場寒桜
厚き雲ゆるく押し分け春日射し
浜風に揺れて古木の梅開く
牡丹雪解けつつ積んで日暮れけり
誰待つと云ふでもなしに二月来る
山腹に光る一邑春隣
やや日脚伸びしを言ひて別れけり
冠雪に首うなだれし紅椿
立春に梅ほころびて和みけり
雪を背に竹地面までお辞儀せり
高速路右に左に寒の月
おでん鍋卵が一つ残りけり  
潮騒の聞える小径石蕗の花 
目覚むれば部屋の中まで雪明り
終日をパジャマで過ごす雪降る日
寒鮒のはねて値のつく露店市
父さんがバケツの帽子雪だるま
立春の朝際やかに壱岐、神集島
「遺句集を読む」の稿継ぐ雪降る夜
早朝のニュースキャスター風邪声で
雪道を音たてて来る郵便夫
寒明けぬ心の奥に弾むもの
鬼やらひ打たれ上手に追ひ上手
ベランダに隈なき春の光りかな
紫の袴きりりと弓始
素粒子
素粒子
さよ子
さよ子
千代子
千代子
弘枝
弘枝
栄子
栄子
艶子
艶子
康子
康子


泰子
泰子
ひとし
ひとし
弘宇
弘宇
昭子
昭子
石菖
石菖
芳郎
芳郎



平成21年5月号掲載 句会報
     鹿沼いまたか俳句会  
鷹羽克子

平成21年5月号へ 

 いまたか俳句会は、橋田一青先生のご指導のもとに産声をあげて、今年三十才になります。その間、亡くなられたり、退会された方、一方で、新入や再入会の方などの出入りはありましたが、十五名から二十名の会員数を保って現在に至っています。(現在十六名)
 句会は毎月一回、原則として第二土曜日、星田一草先生のご指導をいただきながら、忌憚のない感想や意見、仮名づかいや季語のつかい方などを述べあって、和気藹々の楽しい会です。
 会員は熱心で勉強家で、俳句はもちろん文章もよくする方々です。例えば白魚火誌六百号記念誌を見ますと、随筆賞 星揚子。秀作賞 宇賀神尚雄(平成二十一年三月一日発行の白魚火同人会報にも、「立ち去ったのは誰―奥の細道遊行柳考―」を掲載)星田一草。佳作には大野静枝、田原桂子の諸氏が名を連ねています。
三月の句会より
穏やかに山茱萸の雨煙ぶりたる
電子辞書いつも身近に春炬燵
山茱萸や畑に蒔くものあれとこれ 
初ひばり雨意兆したる天心に
蓬の芽少年水辺にもう群れて
山茱萸に日のやんわりととどまれり
山茱萸の黄がこぼれ落つ処方箋
水鳥の身のしなやかな春の池
三月の光隅無き雑木山
幾年のほほえみ湛ゆ古雛
坪庭に落款めきし落椿 
かな文字の書き出しさうな土筆かな
水温む放流の稚魚すぐ消えて
水温む舫舟より小鷺翔つ
畑中の墓碑光りをり麦青む
一草
菊女

国司
桂子
静枝
尚子
民子
尚雄
文江

裕子
揚子
要作
克子
 二月八日、鹿沼にあるもう一つの白魚火誌友の「水無月会」が、芭蕉句碑除幕式を記念し五十回記念の句会を開きました。いまたか句会からも都合のつく者が参加しました。  
水無月俳句会 五十回記念
    芭蕉句碑除幕協賛句会
冬木立人影まばらこけし館
句碑建つや掬翠園に春の風
枯山水渡る石橋春二月
春寒し翁の真筆句碑の建つ
碑面をなぞる木洩れ日春めける
達磨の目墨濃く入れて春を待つ
蕗の薹ほろほろ土手の土こぼれ
句碑除幕二月の午後の曇りぐせ
句碑除幕するりと落ちし春の土
西澤美智子
竹澤和枝
柴田倫子
榎本幸子
高岡良子
藤沼敏子
海老原季誉
齋藤 都
鷹羽克子
 入あひのかねもきこへすはるのくれ 風羅坊 
  入りあいのかねもきこえずはるのくれ (ふう)羅坊(らぼう) 
俳聖松尾芭蕉が「奥の細道」の途上、元禄二年(一六八九年)三月二九日、鹿沼に一泊した折の吟句とされ、碑銘は芭蕉の真蹟詠草で、風羅坊は芭蕉の別号である。



平成21年6月号掲載 句会報
      浜松白魚火 梧桐句会 
中田秀子 

平成21年6月号へ 

  梧桐句会はただ今十六名の女性ばかりの会員です。私が入会致しまして以来メンバーに出入りはありましたが人数に変わりはありません。ただ大きな変化は七十才代が半数以上を占めてしまったことです。大先輩の鈴木夢さんが体調を崩されましてからは建代さんが若い皆さんの面倒を一手に引き受けて梧桐の為に頑張って下さっております。大切な伝達事項は幼稚園児に話すように何度も何度も大きな声で分かりやすく説明して下さいます。それも会員が未曽有の高齢化社会に足を踏み入れてしまったからです。定例句会は毎月第一月曜日と定められておりまして七句出句八句選で行われます。全国の白魚火誌友の皆様には申し訳ございませんがこの日ばかりは仁尾正文主宰を梧桐句会で一日独占させていただいております。成績の結果はとも角昼食をなかにいたしましての定例句会はとても楽しく至福のひと時であります。ただ吟行会には男性がおりませんので女性の運転で出かけます。その為大変な負担をお掛けして申し訳なく思っております。女性ばかりと云うことで何かにつけお世話をお掛けしております建代さんには会員一同心より感謝致しております。建代さんそして蔭で支えて下さっている夢さんありがとうございます。これからもどうぞ宜しくお願い致します。

作品

花の樹下九頭身の男が居
花万朶幼馴染にはたと会ふ  
棹立てて深さを見する花見船
次の間に若き客あり春障子
大盛りにして佛前にわらび飯
気にかかる言の葉一つ諸葛菜
支へ木に老幹あづけ桜満
春の雲乘りそこねたる人力車
まん中に母の腰掛花筵
中腹に一宇の御堂山桜
おしどりの流れに乗れる春の川
川向うより鶯の声しきり
開け放つ大方丈や鳥交る
三基立つ発電風車山笑ふ
山裾の段段畑茶の芽伸ぶ
入学の子とふるさとの墓を訪ふ
正文

建代
巴江
美代子
陽子
いし
純子
純江
滋世
弘子
章子
三千代
絹代
恵子
秀子



平成21年7月号掲載 句会報
     東京白魚火会  
河島美苑

平成21年7月号へ 

 東京白魚火会は昭和四十五年に発足し、平成二十一年四月の会報は四百五十六号となりました。昭和四十五年に二十四人にて発足し、平成四年に四十三人、平成六年に神奈川句会の新設により会員が分かれ、その後の東京句会は二十人前後で継続されました。平成十六年に二十人在籍した会員が現在に至る五年間で減少し七人となってしまいました。
 句会は毎月一回行われています。午前中に各自近在の地を吟行し、午後から持ち寄り句会となります。句会場は主に文京区本郷で行われます。会場近くの主な吟行地は、小石川後楽園、駒込の六義園、東大の小石川植物園、湯島天神、巣鴨の古河庭園などが定番です。植物園・庭園などは訪れる年を違え、季節を違えると幾度通っても、新しい発見があり、不思議に思います。
 指導者の湯浅平人先生亡き後は残念ながら強力な指導者も居らず、少人数のささやかな句会です。投句・選句の後に、全句について、一句ずつ感想を述べ合い、句意について、語句について話し合います。作句者と読者の思いの同異はなかなかに面白いものです。各自在住の区・市の句会の様子なども報告して、勉強の糧としています。
 発足当時からの会員でおられる櫻井水尾女さまは句会には出席なさいませんが、句会報を読まれ、東京白魚火会を見守ってくださっておられます。御自宅を訪問し俳句についてうかがうこともあります。また、まだ会報を読むだけの会員も一名(高間 葉さん)おります。
 句会四十年の継続を思うと、ささやかながらも句会を続けてゆきたいと願っています。
句会報より
雪柳日暮れて白さいや増しぬ
押せ押すな今宵は花のはしごせむ
懐手顎で苗木を売る庭師
泰然としてひと本の遅桜
何処までも続く鉄路や諸葛菜
遅々と行く落花の中の車椅子
四年振り話途切れぬ花の下
藤の花こぼれる水屋墓参かな
春寒ややつと手にする捜し物
初鰊少し甘酢で仕上げたり
花散らす風はしずかに吹くべかり
小熊の目とろり眠たき春の園
走り根を覆ひ隠して花の宴
菜花漬け記憶の味がつまりけり
吹奏楽飛び出しそうな水芭蕉
降り出して闇やはらかき春の雪  
冴返るモディリアーニ長き首  
初桜遠嶺の雪と光り合ふ 
特急電車光る風乗せ去りにけり
重たげな青葉をゆらし風わたる
温暖の庭に雪吊りある平和
遅牛
遅牛
遅牛
水尾女
水尾女
水尾女
茂子
茂子
茂子
まや子
まや子
まや子
和夫
和夫
和夫


葉 
美苑
美苑
美苑


平成21年8月号掲載 句会報
      磐田「槙の会」
 黒崎治夫 

平成21年8月号へ 

  「槙の会」は平成十六年に誕生した。現在の会員数は、二十四名位だろうと思う。この「位」というのが、この会の特徴をよく表わしている。つまり「槙の会」は、「槙の会」と「勉強会」の二つの句会で成り立っており、十八名と二十名の仲間がいる。二つの句会に出席する人と、どちらか一方に席を置いている人がいるということなのである。これは、参加する人の自由意志で自然と今の形になっている。他の句会とも一つ違う点は、無所属の人、他結社に属している人、「白魚火」の会員(現在十四名)と分かれており「白魚火」の会員ばかりで構成されていないことである。折節、浜松の会員の方や、遠方から年二・三回出席する方、不在投句のみの仲間もいるのである。
 句会の責任者は黒崎治夫であるが、一つだけはっきりした指導理念を示している。「俳句は格調である」ということを強く繰り返し主張している。詩歌、特に俳句のような短詩型文学の性格からの発言であり、「品格と調子」は物が言えない文芸の当然の理であると説いている。
 「勉強会」では、万葉集から現代俳句までの歴史とそれぞれの時代の文学・世相を語り、作句の手法及び歴史的仮名遣・文語文法について三十回に亙り講義が行われた。
 句会の形式は、各人が選をした全作品に対して、その取拾した理由を発言しながら進められている。自分の選に責任を持ち、自分が認められなかった作品を、他者がどう感じどう受け止めているかを実感していくことで、自己の作品も選句眼も高められていくという考え方がその根底にある。三時間三十分の句会が、長く感じられるか、短く感じるかは、各人がどういう勉強の場であるかを自覚することの中にあるはずである。適度な緊張感と笑いの安らぎがその場にあれば、その日の句会は充足されたという思いが強い。
 磐田市は平成二十一年二月に新市として、市の木を「クスノキ」と定めた。樹齢七百年を越える大樟が、磐田駅前に今も繁茂している。それ以前、旧磐田市の市の木は「槙」であった。近郊の農家には現在も、槙垣や槙の大樹が庭に植えられている。会の名の所以である。

下千本の葉桜ばかり見つ帰る
一仕事終へて朝の新茶かな
雨蛙一席口上石舞台
ぼうたんや軒に汲み置く桶の水
箸の先筍飯と戯るる
水に火に仕へ母の日恙無し
昭和の日病院の窓開けしまま
鉄棒をくるりと雀隠れかな
葱坊主頑張ることのきらひな子
鯉のぼりふはりと八十八夜過ぐ
著莪の花流人の小屋を囲みけり
雑巾を縫ふ矢車の回る音
雨に濡るるあやめの花の高さかな
はつなつや抱き上げし子に見詰められ
あをあをと富士丘上がる端午かな
中村信吾
金子きよ子
福岡菊雄
村上尚子
溝口正泰
鈴木敬子
村上 修
鈴木貴久栄
埋田あい
影山 園
高田茂子
斎藤文子
武田貞夫
新村喜和子
黒崎 治夫

  「槙の会」幹事・村上尚子
 「勉強会」幹事・高田茂子


平成21年9月号掲載 句会報
     静岡白魚火「穂波句会」  
 藤田ふみ子

平成21年9月号へ 

 「穂波句会」は平成十九年九月、静岡白魚火句会の再編成を機に、旧さつき句会、旧細江句会の統合により生まれた静岡白魚火七句会の一つです。句会名は日本の原風景の稲田に因み「穂波」と名付けました。
 会員は女性だけの十三名で、月一回の句会は牧之原市の「文化センター」で行います。七句投句、七句互選のあと、三都夫先生の特選、準特選、入選の発表と選評をはじめ添削指導を戴き、選に洩れた句についても丁寧な説明があります。句会は穏やかな中にも緊張感が溢れ、楽しい勉強会でもあります。
 その他の行事として月一回マイカー利用の半日吟行会があります。季節ごとに新しい発見があり、極力出席戴く三都夫先生の俳句観、「足もて作る俳句」に触れるチャンスでもあります。先生の「花鳥諷詠」は飽く迄「写生」で、「季題を生かす」「説明しない」「言葉は平易に」「句材の観察は必ず立ち止まって見つめる」と常々言われております。
 誰かが言いました「ああ俳句を止めたい。でも止められない」と、私も同感ですが、この止められない俳句とは何なのでしょうか。
 私達静岡白魚火会ではこの外全体の吟行会年六回程度、合同句会年四回程度が行われ親睦を図っております。
花菖蒲妍を競ふは揺れあへる
夏椿落ちし数だけ寂しけり
形代に病渡して詣でけり  
漁終へてあぢさし空へ紛れけり
造り滝苔あをあをと馴染みをり
螢火の滅一瞬の闇深き
白紫陽花一途に白さ貫きし
夕暮れの雨に匂へる栗の花
風鈴屋音騒がせて曲りけり
日焼け止めだけには非ず夏帽子
挨拶の日傘と日傘一歩引き
実の数にえごの花数思ひけり
雨蛙村を寝かせず雨を乞ふ
三都夫
よし子

かつ
利子
昇子
いつ子
悦子
松枝
光代
智保子
美佐子
ふみ子


平成21年10月号掲載 句会報
      出雲「JAふれあいの家俳句会」
渡部昌石 

平成21年10月号へ 

 六年前に農協婦人部の中に俳句会を結成、指導されていた小林梨花さんより平成二十年七月から私が受け継ぐことになった。
 JAふれあいの家俳句会と名を改め再出発しました。現在のメンバーは七名で、平均年齢は六十九歳です。
 毎月、自分の俳句を短冊に毛筆で書くなど現在も引き続き実行しています。
 句会では二時間ほどで互選に続き選評が終り、その後は出雲地方の習慣、「茶呑ん話し」に切り替り、楽しいひとときを過ごします。次回の打ち合わせをして句会が終了です。
 俳句は毎月六句作って来ることにしています。五句は白魚火集に出句、一句は新聞に掲載する為です。
 絵画、写真等に真似のできない一味違う俳句を目指して、音、匂い、薫り等をテーマにした俳句にも挑戦しています。
「俳句は長寿の秘訣」を座右の銘として句作りに頑張っています。俳句が心の糧となり生きる力になればと思っています。

七月例会より

見落され蚕豆種となるつもり
真夏日や温度計とて愚痴を言ふ
マイケルの突然の死や梅雨深し
夏祭負はれた子等も神酒祝ふ
子等の傘南天の花こぼしゆく
ゆつたりと暮れて谷間に蛍とぶ
一斉に溝川掃除芒種の日
豆腐屋の湯気に薫りや燕の子
岸 寿美
岡本正子
大滝美恵子
佐野久野
河原幹子
松尾純子
竹田喜久子
渡部昌石



平成21年11月号掲載 句会報
     鹿沼「水無月句会」  
 高岡良子

平成21年11月号へ 

  鹿沼「水無月句会」は、平成十六年六月に誕生しました。句会の名は、第一回句会が六月に行われたことによります。休むことなく今日まで至っています。
 会の発端は、私が一年間の留学を終え帰国した折、高校時代の友人が昼食会を開いてくれた事です。その時、私から提案し、会を立ち上げることとなったわけです。当時俳句を作ったことも無い人達で始まったのですが、現在は白魚火会員になった人もいますし、他のグループに所属している人、全く無所属の人と、様々な形で楽しんでいます。他に句会には参加しませんが、育児休暇中の若いお母さんもいます。
 句会はほとんど五句もちより、五句選で行っています。年に一度程度、宿泊の吟行旅行も行っています。
 今年は会の五十回句会を記念し、鹿沼史談会との協賛「芭蕉碑建立記念句会」を催すことができました。外部との交流は初めての体験でしたので、会員一同新鮮な感動を味わうことができました。
光る海一家総出の昆布干し
秋黴雨馬越峠に瀬音聞く 
ロビーにて地方紙開く今朝の秋
ひと眠りして始まれる夜長かな 
夏雲やかもめ群がる定期船
誰が句碑か読む術もなし蝉しぐれ 
秋蝶や幾何学模様描き飛ぶ
かまつかの朱のきわだちて咲きにけり  
紙魚跡や朱き表紙の智恵子抄
白杖の人に腕貸す今朝の秋 
なにげなき夫の口笛雛の唄
夫と行く花見真白きスニーカー 
母の歩を振り返りつつ青き踏む
達磨の目墨濃く入れて春を待つ  
西澤美智子
 〃 
竹澤和枝
 〃 
柴田倫子
 〃 
榎本幸子
 〃
高岡良子
 〃 
藤田多恵子
 〃 
藤沼敏子
 〃


平成21年12月号掲載 句会報
      浜松「円坐B句会」
織田美智子 

平成21年12月号へ 

 この句会は「しずおか社会保険センター浜松」の三教室ある俳句講座のひとつである。
 平成六年四月に開設され、一期三ヶ月が原則だが、更新を続けて、十六年目に入った人もいて、平均受講年数は十年位である。定員二十名で、家庭の都合や、健康上の理由で退会する人があると、又新しい人が入ってくるので、人数はあまり変わらない。
 男女比は、ほぼ同じであるが、年齢は五十代から八十代まで。また俳歴は、一、二年の人から、二十年以上の人までと、かなり変化に富んでいるのも特徴のひとつである。
 月二回の講座は、第二と第四のいずれも火曜日の午後一時から三時までである。
 第二火曜日は、仁尾正文先生がお見えになる日で、時間いっぱいまで懇切なご指導を戴く。あとの一回は、先生から丁寧なコメントのついた選句を戴くので、それを代読し、後は各人が自分の選んだ特選句について、感想を述べることにしている。また今日の俳句で疑問に思った事、解らなかった事など、率直に話して貰い、一緒に勉強している。
 いずれも事前に五句出句して、それを印刷したものを当日配布。互選は六句選とし、うち一句は特選の印をつける。披講も順番制である。難しい漢字の読みの時など、周りから助け舟が出たりもする。時に緊張し、時に爆笑したりと、密度の濃い二時間である。

円錐の全き穴に啄木鳥入る
秋桜紬年年よく馴染み
枝豆を食うて談論風発す
酔芙蓉旅籠に残る刀掛け
牧場のミルクは濃かり小鳥来る
母逝きて残せし畑の秋茄子
賑はひは休耕田の秋桜
おいしいとうまいは違ふ秋刀魚焼く
ドクターストップ解けし夫や小鳥来る
浜名湖をひと跨ぎして鰯雲
釣船のまだ去りやらぬ秋夕焼
台風に遭つて汽車泊一夜過ぐ
しろがねのうねりとなりしすすきはら
里山をただ歩きけり秋の風
三角巾の講習受くる厄日かな
台風来土間に肩寄す植木鉢
秋蝉や水郷をゆく手漕ぎ舟
雨降らず二百十日も過ぎにけり
夜更けでも一途なこゑを鉦叩
留袖の三人姉妹藤袴
ぽきと折る茎さみどりの彼岸花
仁尾正文
青木いく代
青木源策
石田博人
伊藤いつ子
伊藤紀久雄
伊藤寿章
宇於崎桂子
江良栄子
大石正美
加茂康一
神田正男
栗田幸雄
佐藤貞子
榛葉君江
高部宗夫
林 浩世
三島すさ
村松ヒサ子
柳井英子
織田美智子



平成21年12月号掲載 句会報
     佐賀「姫沙羅会」 
田久保とし子

平成21年12月号へ 


 平成十四年の春、小浜史都女先生に声をかけられ集まったのが私達の姫沙羅会で、八年目を迎えています。メンバー十二名のうち一名は町外から、平均年齢六十四歳、その差は四十二の開きがあり、全く知らない者ばかりの集りだったのが、今では和気藹々のとても楽しい仲間です。月二回例会があり、句会の時は笑いが絶えません。座折しそうになりながらも、懇切丁寧な史都女先生のご指導のおかげで今日に至っています。
 四季折々の移ろい、植物、動物、行事いろんな事を教わり世の中を見る目が変わったように思います。この姫沙羅会の仲間でいられることをとても幸に思っています。メンバーの方にも沢山の力をもらいながら、末永く続けていきたいと思っています。史都女先生これからもよろしくお願いします。

紫陽花の鉛筆塚を押し隠す
竜の髭咲き吊橋へあとすこし
谷風の起り小暗き四葩径
河鹿笛轟く谷に確と聞く
滝近し落ち合う音の迫り来る
途切れなく銀糸のごとく滴れり
名瀑を描き続ける絵師一人
歌よみの昼餉の締めの冷やし汁
四葩散る足元濡らす山の水
合歓の花薄紅さして目覚めたる
岩清水てのひらに受く甘露かな
長々と蜥蝪の尻尾足すくみ
連なりて岩肌濡らす苔清水
雨あとの水音激し夫婦滝
群れて咲く花十薬の闇ふかし
先頭の百足百足と口伝へ
飛沫浴び顔より太し四葩かな
青蔦やあちこち目立つ投句箱
供養塔建てて商ふ滝見茶屋
あぢさゐや三等身の千手仏
吊橋の真中に見上ぐ男滝
かくれんぼしてゐるやうな燕の子
一筋の細き流れの四葩かな
四阿のほとり確かに河鹿笛
史都女
 〃 
ふくよ
 〃 
凉 子
 〃 
きく子
 〃
絵美子
 〃 
春苑
 〃 
千代女
 〃
紫陽
 〃
幸 子
 〃
景 子
 〃
利 恵
 〃
とし子
 〃


平成22年2月号掲載 句会報
      旭川白魚火句会
平間純一 

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  旭川白魚火句会は、四十年程前、タカ女先生と宮野一磴さんが呼びかけて始まった歴史ある句会です。
 宮野一磴さんは、長年患っていた坐骨神経痛などのためタクシーで出席していましたが、平成二十年十一月号を以って白魚火を退会されました。
 その俳句に対する姿勢は、大変厳しいものでしたが、時には「うまくなったよ」と誉てもくれました。
 また副会長であった佐藤光汀さんも、体調を崩し、昨年一月号を以って退会しました。お二人の抜けた会は寂しいもので、常に佳い句を浴びながら育って来た私たちには、とても残念なことです。
 句会は、月二回夜六時から九時までで、十句持ち寄り十句互選、タカ女会長、東條三都夫副会長の特選選評と続き、参加者がその日の感銘句を一、二句程鑑賞しています。
 最近は、小林さつきさんが教鞭をとっている高専の学生が参加するなど、新しい風も入ってきてます。
 また、毎年春と秋に開催される旭川市民俳句大会には、積極的に参加し、選者であるタカ女先生を始め、司会、清記、集計など各人重要な役割を指名され、頑張っています。
 これからも、皆仲良くも、切磋琢磨して、タカ女先生の期待に応えたいと思います。

弾みたる賽銭閊へ神の留守
紅葉且つ散る神前へ三百歩
縞栗鼠の冬支度する頬袋
目覚めたる鴨の人待ち顔なりし
コーヒーは黒き飲み物冬深し
川涸るる底かすかなる韻流れ
豊かなる巫女の黒髪神渡し
新米やいただきますの声揃ふ
桐一葉古布よみがへる展示会
深深と隠し包丁おでん鍋
天文台ある小学校小鳥来る
狛犬は明治生まれや七五三
九十の母を楯とす隙間風
坂本タカ女
東條三都夫
五嶋休光
平間純一
大作佳範
滝見美代子
小林さつき
萩原峯子
吉川紀子
小林布佐子
渡邊喜久江
星野靖子
山田敬子



平成21年12月号掲載 句会報
     広済寮なかよし句会 
(中津川)吉村道子

平成22年4月号へ 

なかよし句会とは「特別養護老人ホーム延暦寺広済寮」という所の俳句クラブの名前です。広済寮は標高約八百メートル、恵那山の中腹にあり冬には今まで見た事も無い大氷柱が下がります。
 この句会は俳人協会の高齢者のための俳句の会としてありました「年の花」の委嘱により、昭和五十五年より澤田早苗先生が指導に当られ、その後を橋場きよ先生が指導を受け継いでおられます。
 家族と離れ、老いて体もままならぬ方たちに俳句が心の灯火になる様にと地域の方も仲間になって下さり十名程の会となっています。初心者ばかりですので、井上科子さんと私がその句作りのお手伝いをさせていただいています。
 この広済寮は、平安時代に比叡山を開かれた最澄(伝教大師)が東山道を行き交う旅人のためにひらかれた宿泊所ゆかりのホームなので、師の「一隅を照らす」精神が職員の方たちにも生かされていて、とても暖かい雰囲気なのです。
 句会場には四季折折の花が活けられて居り、時には拍手をしてくれる動物の玩具があったりして笑いを誘ってくれたりもします。
 しかし、今年の一月句会は悲しい初句会となってしまいました。
それはこの句会のリーダーとして、不自由な手のために歳時記を捲ることも、句を記すことさえもかなわなかった身を励まして、白魚火会員として参加されていました「曽我津也子」さんが年末に亡くなられた淋しさを思わずにはいられなかったからです。
 そのため一月句会の兼題は氷柱と歌留多でしたが句会の各一句は左の様に弔句が多くなりました。
今一度引いてみたいな初神籤
明け方に粉雪深深積りけり
友を恋ひ潤む眼に大氷柱
襷掛けの淑女の弾く歌留多とり
風花の静かに舞ふ日友逝きぬ
お嬢さんの四つ這ひになる歌留多とり
大勢の兄弟揃ふ歌留多とり(
もう友は冬の銀河へ渡りしか
冬星の灯し始める葬帰り
志ま子
志げ子
昌子
わか子
原 信子
朔子
曽我信子
科子
道子
おわりに遺句となってしまいましたが生前の津也子さんの三句を記させていただきます。
介護され日々好日の冬籠
氷柱にも動ぜぬ暮し十年経て
北風に千年榎ゆるぎなし津也子
 一月は恒例の初釜句会でした。これからも四季を愛で楽しく句会ができるようお手伝いしたいと思います。



平成22年5月号掲載 句会報
      静岡白魚火 紫陽花句会
本杉郁代 

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静岡白魚火は現在七つの句会に分かれております。私達の紫陽花句会は十六名の句会です。まだ現役の人、商店、自営業、親の介護、孫のお守りと家庭環境はさまざまです。従って三都夫先生をお迎えしての月一回の例会は土、日と平日とを交互に昼間の時間帯に行っております。比較的若い人が多いので何事も手早く会の運営もスムーズで明るく楽しい句会です。会場は市の文化センターです。持ち寄り七句を二枚複写で清記し一枚を先生の選に一枚をコピーし全員に配ります。これらの作業も常に若い人達が対応してくれています。ノートに転記する必要もなく互選も落ち着いて出来ます。互選の披講のあと三都夫先生に御選評、御指導をいただきますが全員の句をあらためて観照することが出来大変有意義だと思っております。十六名の句会というのは多過ぎず少な過ぎずの理想的な句会として機能していると思います。俳歴については十数年〜まだ数年と差こそありますがお互いに学び合う中で切磋琢磨することは自然と俳句の上達につながっていることを実感しております。三都夫先生の熱心な御指導と俳句へのパワーをいただきながら今後も月一回の例会を研鑽の場として、共に楽しく仲良く笑い声の絶えない句会として更に成長していく事を願っております。
三月句会より

その色の春告鳥かまだ鳴けず
盆梅と言へど枝垂れの確かなり
風花を吹き出す雲の来て頻り
梅林を抜けきし風と思ひけり
早咲きの花より山の目覚めけり
ちぐはぐな会話を繋ぐ日向ぼこ
一跨ぎして靴取らるる芹の川
片雲の日差遮ぎる寒さかな
襖絵戸閉れば鶴の舞ひ上がる
きのふより違ふ鳥きて日脚伸ぶ
風花てふ儚きもののいとほしき
迷ひ来し白鳥の羽傷みをり
こころざしいつも大きく山笑ふ
盆梅の蕾ほつこり円なる
おもたせの包みも菓子も春の色
三都夫
よし子
伊佐子
登美恵
春江
弘子
美枝子
久代
絹子
まさ江
朝子
玖美子
まつ恵
秀子
郁代



平成22年6月号掲載 句会報
     栃木白魚火 鹿沼いまたか俳句会 
齋藤 都

平成22年6月号へ 

 鹿沼いまたか句会は、三十年程前、故橋田一青先生を指導者として勤務する高校の職場句会として、当時現・旧教職員、校医、父兄卒業生等で始まった句会である。
 会名は、勤務する今市高校を通稱「今高」をひらがなで「いまたか句会」とした。
 しかし、当然現在は今市高校勤務者はいない。会場も今市から鹿沼に変更し鹿沼白魚火会とも合流し、会員も元同僚、友人、知人、卒業生も年々加わり、日常身辺からも自然の心にふれた俳句が得られる様、楽しく努力している。
 平成十三年に橋田先生が亡くなられた後は会員の一人で毎日新聞「しもつけ文園」俳句選者も橋田先生から引き継がれていた星田一草先生を代表者として今日に至っている。
 句会は、発足以来一度も休むことなく月一回第二土曜日、鹿沼市内で欠席投句もみとめ兼題も含め五句出句、互選とし参加者は選評し合い、星田一草先生にまとめていただき、句会報も続けて発行している。
 最近は、各種俳句会・吟行会にも参加するいまたか俳句会員であるが、三十年も続けられているのは、勿論、会員の移動、会場の変更があっても結成当時の会員がかなりいるのと会員同志が和やかで楽しい句会であるからだと思う。
 それも橋田一青先生亡きあと、代表者として引き受けていただいた星田一草先生の丁寧な御指導をいただいているからである。
  四月の句会より
芽柳の風のやさしき涅槃かな
初蝶の沈みし原を眼間ひに
別れねばならぬ角まで春の月
ビル街の丸く吹かるる春柳
蘖の天に向けたる一枝かな
四月馬鹿ひと桁違ふダイヤかな
一人歩きしてゐる噂四月馬鹿
大車輪まはる鉄棒春の空
万愚節弁当箱を褒めらるる
畦焼きのくすぶる匂ひ暮れなづむ
首を吊る電機療法四月馬鹿
駅近き小さな教会春の海
春ショール膝より落つる会議かな
星田一草
宇賀神尚雄
中村国司
田原桂子
高内尚子
高島文江
星 揚子
本倉裕子
柴山要作
大野静枝
鷹羽克子
西山弓子
齋藤 都



平成22年7月号掲載 句会報
      白魚火天神俳句会
東広島市 中組美喜枝

平成22年7月号へ 

  句会名は穏やかな田園風景から目を転じればいつでも仰ぐことのできる地元の霊峰天神岳から頂いたものです。
 天神俳句会には三十名の会員の通信俳句会と十四名会員の定例俳句会とがあります。ともに指導してくださるのは奥田積先生です。
 通信俳句会は平成十二年に句会報第一号が発行され、間もなく十年目の百二十号を迎えようとしています。通信句会では毎月指定日までに投句と前号の選句を郵送し、先生からは折り返し投句一覧と選句一覧の会報が送られてきます。先生の選句には丁寧な選評が添えられていて楽しみです。
 定例俳句会は毎月一回地区公民館で行われます。披講を朗々と行ってくださるのは御歳九十歳にて僧侶であられる方です。合評会にはお茶菓子も用意されていて堅苦しくならないように和気藹々と進みます。最後に先生は一句一句について指導してくださいますが、毎回あっという間に時間が過ぎていく感じです。
 折々の吟行会、広島白魚火俳句会や市の俳句協会の吟行会に参加する外に、地区公民館の文化祭や市の生涯学習フェスティバルに出展するなどして多くの方々との佳き出会いを楽しみにしています。  
これからも俳句を通して生きる楽しさを味わっていきたいと思っています。

大根の花や少女の高笑ひ  
安心の色に咲きけり犬ふぐり
ものの芽やづかづかと踏む赤い靴
小気味よく卒寿の母が畑を打つ
ほつこりと土持ち上げて蕗の薹
目刺焼く五合の飯の炊けてをり
道連れの在りし喜び仏生会  
こころまで若葉に浸る山歩き
半鐘台今も残りて豆の花
何となく燕の会話中国語
草萌ゆる母の視界に子を離し
春愁や老眼鏡のすぐくもる
風光る水を零して壜洗ふ

幸恵
美恵子
晃平
露子
スエコ

至浄
照子
陸生
千代子
ハマコ
美喜枝



平成22年8月号掲載 句会報
     宇都宮公民館白魚火句会 
大野静枝

平成22年8月号へ 

 約十九年前簗瀬地区の公民館の館長だった故松本ひろし様が、俳句会を創設する旨を、地域に回覧したところ、会員になる希望の申し出があったのは僅かに二名でした。五名以上の会員が在籍する会でないと、公民館の施設の使用ができないので、内山多都夫さん他が協力参会して立ち上げたのがこの句会の始まりです。
 当初の句会の名称は「簗瀬俳句会」でしたが、句会場が転々とするうちに名称は「公民館白魚火句会(略称白魚火句会)になり今の句会場に落ち着きました。
 橋田一青先生が指導者になり、野口一秋さんに引き継がれ現在に至っております。
 句会は月一回第三火曜日午後一時から五句出句十句選です。他に十句を句会後の勉強会で互選しております。句会報を毎月発行、平成二十二年五月号で第二百二十五号になりました。吟行も随時行っております。
 会員数は常に十名以上で指導者の助言を受けながら全会員が自由発言して、切磋琢磨し俳句力の向上に励んでおります。
  五月号の句会より
香水をひと吹き鎧ふ女かな
夏服をほめて看護師検温す
宝鐸草錫杖鳴らし磴登る
大青田雨の関東平野かな
老鶯の山を負ひたる師弟句碑
吹かれつつ今開かんと朴の花
牡丹の開ききつたる重さかな
竹散るや墓誌に陸軍二等兵
多摩川の堤踏みしむみどりの日
老鴬の加勢一気に磴登る
初夏や箒で象の足裏掃く
野口一秋
小林久子
谷田部シツイ
河瀬都季女
加茂都紀女
田原桂子
小川惠子
松本光子
安納久子
阿部晴江
大野静枝



平成22年9月号掲載 句会報
      静岡白魚火「草の実句会」
黒田一男

平成22年9月号へ 

 当草の実句会は長年続いて来た静岡白魚火句会の改編により二年程前、静波句会とさくら句会が合併し、他の静岡白魚火六句会共々、旧句会の名を惜しみながら発足致しました。当初運営が心配されましたが、特に問題点も無く今日に至っております。
 句会員は鈴木先生は元より顧問の檜林ひろ子さんを筆頭に十四名のメンバーで構成されております。
 句会実施の概要はどこの句会も同様何ら変わることはありません。七句を投句しております。他にメンバーのほとんどが毎月通信添削を受けております。この通信添削が魔物で鈴木先生は日頃「この中にも特選句はある。自選の難しさだ。」と言っておられます。
 先生の選句は時には厳しくもあり優しくもあります。特に添削により平凡な句が特選句の様に変わることがあり、メンバーが「おゝ」っと喚声を揚げることがあります。また特選句は互選された句とは違い、鈴木先生の「誰の句かわかりませんが。」で始まります。これも鈴木先生の卓越した選句と思って感心しております。
 草の実句会は鈴木先生のモットーとする、ヒットよりホームラン(入選句より特選句)を合言葉に九回裏代打逆転満塁サヨナラホームランを夢見て切磋琢磨して頑張っております。 
最近の句会より

祝ひ凧出世の勢ひもて昇る
老鶯のきれいに鳴いて老知らず
母の日や青春の日の親不孝
昨日今日夫と二人の花見かな
ドリンク剤飲んで卯の花腐しかな
紫陽花の未だ定まらぬ毬の色
まだ揺れてゐたくて藤は実となりぬ
進むとも見えず進みし白子船
馬主のほろ酔ひ機嫌草競馬
花の座を挙げて泰山木となる
一斉に蛙鳴き出す夜となりし
おのづから光りさばしる猫柳
砂丘茶屋葭簀五月の日へ立てて
掬ひたし代田の中の丸い月
葉桜に紛れてをりし残花かな
鈴木三都夫
檜林ひろ子
大石越代
大石みゑ子
大塚悦子
大塚澄江
梶山憲子
辻すみよ
長尾喜代
浜崎尋子
峯野啓子
山西悦子
山本康恵
山本美好
黒田一男



平成22年10月号掲載 句会報
      旭川白魚火会「泥鰌鍋句会」
吉川紀子

平成22年10月号へ 

 去る八月七日(土)旭川白魚火会では、泥鰌鍋句会を行いました。
この日街中は、夏祭りとあって、神輿を担ぐ法被姿の人や、ラーメン・焼き鳥などの屋台がずらりと並び、大賑わいの日でした。しかも三十度という猛暑のなか、祭りが行われているど真ん中の老舗「よしや」での句会でした。
 「よしや」の二階は古く、クーラーもなく、年代物の扇風機が音を立てて廻る割には蒸し暑く、窓を開けると、下で焼いている焼き鳥の煙が上がってきて、三つある窓のうち一つしか開けられず、祭りのバンド演奏がガンガン聞こえ、会話もままならぬ状況にどうなることやらと思いつつ、会が始まりました。 
 タカ女先生が、「まず泥鰌鍋を頂いて、それから、句会にしましょう!〜」とご挨拶があり、早速、食べ始めました。泥鰌鍋といっても、ごぼうのささがきと玉子でとじた柳川鍋ですが、なかなか風情のある、朱塗りの台に載せられて仰々しく運ばれてきました。
 ごぼうの香りがして、骨を抜いた柔らかい身の泥鰌鍋に舌鼓をうちながら、それぞれ句帳にメモを走らせ、汗を拭き拭き、句を作り始めました。
 この蒸し暑い、騒がしい、我慢比べ大会のような中でも、俳人はなんなく受け入れ、それを句に反映し、おおわらわの記憶に残る句会となりました。
 この企画は、さつきさんが、手配してくれたのですが、当日は里帰りで参加できず、とても残念でした。またこの日は、暫くお休みしていた平間純一さんも参加され、三都夫さん、休光さんの男性陣が揃い、再会を喜びつつ、とても活気のある句会となりました。
  
泥鰌鍋の蓋を畳の上にとる
どじよう屋の昭和の匂ふ女将かな
病み上がりなどとは見えずどぜう鍋
判字絵のこぞの額懸けどぜう鍋
再会の笑顔に出逢ふ泥鰌鍋
やつとやつと裟婆に出れたぞ泥鰌鍋
どぜう屋の二階にたまる残暑かな
友復帰紅の器に泥鰌鍋
路地裏に恋歌流れ泥鰌鍋
二代目の首にタオルやどぜう鍋
タカ女
三都夫
休光
美代子
喜久江
純一
布佐子
敬子
峯子
紀子



平成22年12月号掲載 句会報
      群馬白魚火矢倉句会
荻原富江

平成22年12月号へ 

 矢倉句会は、昭和六十三年の夏に発足しました。長年にわたり御指導をして頂いておりました鈴木吾亦紅先生の亡きあと、荒井孝子さんが中心となり、いろいろアドバイスして下さっています。
 定例句会は、お言葉に甘えるまま、田中藍子さん宅にて、月一回、第一日曜日、午後二時より行なっております。
 会員は、本年八月より一名増えて、七名となりました。頼もしい限りです。
 一人五句投句、五句選にて句会は進められます。披講は、皆が慣れるようにと、順番に行います。
 この時、それぞれが思った事、感じた事、字の使い方、読み方など、気の付いた事を、批評し合います。
 仕事などの関係で、なかなか皆揃っての吟行が出来ませんが、都合のついた者同志で近辺を吟行することも、しばしばあります。
 吾妻神社・報徳折田神社・吾嬬神社等の奉燈句会への投句。
 麻の実句会、吾妻俳句連合会吟行句会、観月句会、各地区の文化祭。例えば十一月の岩櫃紅葉俳句大会、町の産業文化祭等に参加しています。
 今、草津白根山の『ななかまど』の紅葉が盛りです。函館のそれとは趣を異にしておりますが自然の逞しさが感じられます。
 野反湖畔の、白樺の幹と葉の黄色が、美しく湖面を彩っています。
 榛名山は、もうすぐ白い芒の穂で、秋の草花が覆い尽されます。
 句会場としている藍子さん宅は、老舗の和菓子屋さんでもあります。実は皆、お茶の時間も楽しみの一つなのです。それぞれが持ち寄ったものと相俟って、テーブルの上は狭きものとなってしまいます。
 他には、こんな句会は有りませんよね。
 当主御子息がこの夏、叔父様の御指導を受けて、伝統ある「酒まんじゅう」の作り方を伝受され、評判となっているようです。
 矢倉句会もこのように、この先ずっと、人生の友として、楽しみながら続けてゆきたいと思います。
 句友の皆様、群馬は海無し県ですが、美しい景色に恵まれ、温泉も多い所です。
 機会がありましたら是非お出掛け下さい。

老大樹奮ひ立たせる蝉時雨
ひたひたと湖の声聞く花さびた
入口も出口も見えず大夏野
やはらかき灰の残りし門火かな
ときめきて藍染めをする秋はじめ
浴衣着て少女の少し大人びて
秋海棠壁いっぱいの夕日かな
荒井孝子
田中藍子
中曽根田美子
竹内芳子
関本都留子
加藤あい子
荻原富江


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